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お年寄りたちの前でボランティア演奏会。さて何の曲をしようか…(2)

お年寄りたちの前でボランティア演奏会。さて何の曲をしようか…(1)からのつづき

世間一般ではよく、年を取ると幼児に帰る、と言います。
認知症の進んだお年寄りを例に挙げるまでもなく、私たちはとくに聴力の衰えたお年寄りに接する際、話しかけるトーンは1オクターブとは言いませんがキーを上げますし、はっきりゆっくり話すことが多くなります。
まだ言葉をよく解さない幼児を相手にする場合とよく似ています。
そしてこの方がコミニュケーションとしてはうまくいく場合が多いでしょう。
ところが私たちが留意するのは話し方だけではありません。
こんな流行語や横文字、難しい言葉を使っても理解してもらえないだろうな…
そう思って、やはり幼児に対するような簡易な表現を心がけます。
こういったことは施設の職員やボランティアなど、お年寄りと接する機会が多い方ほど傾向が顕著で、経験から身に付いた方法である以上、おそらく意義のある方法なのだろうとは考えられますが、素人として端から見ていると、言葉を変えれば「子ども扱い」そのものであり、ちょっと馬鹿にしているように見えなくもありません。
そこには一片の悪意もないにもかかわらず、です。
実際、こういった扱いに対して不快に感じている方は実は多いという、調査結果があります。
認知症が進む等、理解力が衰えてくるほど、不快に感じたり、反発を感じたりする度合いが低くなるともいいます。
あるいは、そういった扱いを受け続けているうちに、自らの身の不自由さから来る申し訳なさや、介護を受けているときのありがたい気持ちから次第に不快や反発を感じなくなって、それが認知症を進行させる原因になる場合もあるそうです。

実は年を取って衰えているように見えても、それは感情の表現力や、体の感覚を通した認知力が衰えてきているだけで、より高度の知識や記憶に関しては若い人とたいして変わらないそうです。
簡単な例を挙げれば、私たちはひらがなで書かれた文字を見ると、まずそれを無意識のうちに音声に置き換え、それから意味を探るという段階を踏んで脳を働かせていると言います。
一方、漢字で書かれた文字は、音声に置き換える段階を踏まず、ストレートに意味にたどり着いているようです。
年を取るとこの音声に置き換える部分が不自由になるようです。(体の感覚を通した認知力の部分です。)
つまり、お年寄りにとっては難しい漢字で見せられるよりも、簡単なはずのひらがなで見せられる方が負担が大きいのです。
まして、漢字に関しては、現代の教育を受けた人は習った文字数も少なく、文字数を減らさんがために「り患」のように見ただけでは意味が不明な熟語を教え込まれており、東洋的な教養の分野では無教養と言ってもいいほどです。
お年寄りの漢字力の方がはるかにまさっているのです。
こんな漢字、難しくてわからないだろう…
などと言うのはまったくの認識不足なのです。
同様に、知能の高度な部分に関しては見た目ほど衰えているわけではなく、むしろ経験豊富な分、若い人より優れていると言ってもいいでしょう。
年を取ると幼児に帰る…
そんなはずはないのです。
覚えたことを難しい順に忘れていけば確かに幼児に戻って行きますが、実際はそうではないようなのです。
私たちはお年寄り、とくに認知症の進んだような方に対する振る舞いを見直す必要があるようです。
ただ繰り返しておきますが、これまでの接し方も決して悪意からではなく、好意から発したものでしたので、過度に反省する必要はないとは思います。

さて、こういった方の前で演奏する際のプログラムですが、迷わず選んだプログラムAはどういうふうに感じられるでしょうか。
年を重ねて来られた方々がいつもいつも童謡ばかり聴いていたとは思えませんよね。
当然、若い人と同じように、クラシックやジャズ、ロックなど、さまざまな分野の音楽を聴いて来られたに違いありません。
それらを全部忘れて、幼い頃に学校唱歌で習った童謡だけしか理解できない、などということは考えられません。
ということは、Bの方がいいのではないでしょうか。
もし私がお年寄りや認知症の方の立場だったら、童謡ばかり聴かされても愉快な時間にはならないでしょう。

お年寄りの音楽を聴いている時の表情や反応は、子どもたちのそれに比べると、聞こえているのかな、というくらい鈍いもので、最初のうちはやりがいのなさを感じたこともありました。
しかし、我らがリーダー(70代)によると、感情を表現できなくなっているだけで、心では十分に愉しんで聴いているので心配するな、とのことでした。
それでもつい、童謡を多く入れてしまいますが、これはこれで懐かしさを感じてもらえるらしく、間違いではないようです。
ただ、クラシックは難しいだろう、などと考えるのは無礼千万であり、また体にも頭脳にも不自由のない若い人たちの思い上がりであることは留意しておく必要があるようです。
さらに言うと、聴いたことのないような新しい音楽に対しても、もっと聴きたいという意欲に満ちている人もいるかもしれず、懐かしいものだけ提供すればそれでいいと考えるのは正しくないかもしれません。
その意味ではCもあり得る?
それだって、おお、孫といっしょに聴いた曲じゃのう、久石譲の作曲じゃ、と来るかもしれませんよ。

参考:正高信男著:老いはこうしてつくられる―こころとからだの加齢変化
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今回はほとんどこの本に書かれていることのウケウリです。
他に「ケータイを持ったサル」「考えないヒト」など、霊長類学者の立場から現代人を鋭く考察した名著があります。


関連記事:「はるモニー」って?
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     この場で生のクラリネットを吹けるのは私だけだ、となれば…
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タグ: 音楽 クラシック 楽器 吹奏楽 認知症 老人ホーム ボランティア 室内楽

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プロフィール

ヨハン・ミズヴィッチ

Author:ヨハン・ミズヴィッチ
33歳にしてクラリネットを始める。
楽器仲間のあらゆる編成に合わせて編曲してしまうのが趣味。
巷にあふれるBGMが大の苦手で、もっと生演奏が街中で聞かれないかと願っている。
その反面、iPod nanoのヘビーユーザーでもある。
最近は4コマ漫画執筆に熱中。

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