はるモニー 〜手づくり音楽のススメ〜
iPodを触らない日がないほどデジタル音楽生活にどっぷり。でももっと生の楽器の音色にも触れていたい… クラシック、楽器、音響、編曲、CDレビューなど、音楽についていろいろ話したいのであります。
楽器を楽しもう〜フルート、お嬢様にして女王様〜
身近な人たちの間で音楽仲間を募ったとき、割とたくさん見つけられるのがフルート経験者です。
多くは学生時代に吹奏楽をしていた方ですが、他の楽器に比べて価格的に手に入れやすいせいもあるでしょう。
というより、たとえばチューバやファゴットだったりすると、とんでもなく高価な楽器のため楽団・学校等が所有して(くれて)いますが、フルートやクラリネット、トランペットなどの小さな楽器は個人でも手が届く価格のものがあるので、購入できる、いや、買わされることが多いようです。
おかげで、楽団を卒業しても手元に楽器が残るので、始めようと思えばすぐにできます。
むろん、思わなければ手元で朽ちていく…もったいない…。
私はほんの2週間くらいしかフルートを吹いたことがないので、この楽器のことはあまりわからないのですが、編曲作業を通じてそれなりに知る機会がありましたので、その方面から触れてみます。

どういうわけか、フルート吹きには女性が多いですね。
吹奏楽で適材適所を目指すと、そうなりやすいのかもしれません。
体の大きな男子は大型の金管、小さな男子はトランペット(中学時代の私もこれです。)と割り振ると、女子はクラリネットとフルートに集まりがちになります。
まじめにこつこつと練習するので、指のテクニックを要求される小型の木管には向いています。
その中でもフルートはもともと「お嬢様が吹くもの」と世間では見られており、しかも定員が多くはないので、「勝ち取ったわ!」と、クラリネットを見下し、高いプライドを身につけます。(ほんまですか?!)
クラリネット吹きの方がずっと多いはずなのに、フルート吹きの方が多く見つかるのはそのせいかも、などと思っています。(ほんとにほんとですか?)

さて、編曲する側からみると、フルートは結構扱いにくい楽器です。
いえ、プライドが高いからではありません。
弦楽器を中心とする室内楽編成の中では、フルートは目立ちすぎてしまうのです。
フルートの最も得意とする音域はオクターブ上の右手指孔を全て開けた領域だと思うのですが、輝かしいがゆえに他の楽器を圧倒してしまいます。
といって、音量を下げると音程もぶら下がりがちになります。
また、その構造上、音程が不安定なため、半ばごまかすためにビブラートを多用しますので、同じく不安定なヴァイオリンのビブラートとぶつかって、きれいに響かすのは難しくなります。(もちろん技術によります。プロのレベルの話ではないので。)
メロディ担当が多くなりますが、それだけではアンサンブルの面白さがないので、ときどきハーモニーに入ってもらうのですが、前述のように目立ちすぎるので低い音域を吹いてもらうと、不満な顔を向けられることがあります。(これはプライドのせいだな。)
6人中2人がフルート、という編成だったこともありますが、複数のフルートというのはさらに困難です。
3度でハモらせても、はっきり言って美しくはならないのです。
もっとも、編曲者の技術次第なのかもしれませんが、自分の経験上は、なかなかやっかいだな、という印象です。
ただ、一番盛り上がる場面ではさすがに効果的です。
お嬢様だった人が、いつのまにか女王様になってる。
ま、そういうこともよくありますね。

モーツァルトはフルートがきらいだった、という説があります。
これは、作曲を依頼されて締め切りを守らないことのほとんどなかったモーツァルトが、フルートのための曲の時に守らなかったことから来たようで、あまり根拠があるものとは言えないようです。
ましてフルート協奏曲や四重奏曲を複数書いていて、「フルートとハープのための協奏曲」という名曲も残しているわけですから。
ちなみに彼の時代、交響曲において、オーボエやファゴットは2本でもフルートは1本が普通です。
モーツァルトやハイドンをもってしても、複数のフルートは扱いにくかったのかもしれません。
また、モーツァルトのフルート四重奏曲以後、フルートを室内楽曲に用いた例は不思議なほど希少です。オーボエぎらいだったといわれるシュポアがいくつか採用しているくらいではないでしょうか。

ともあれ、フルートはやはり孤高の女王なのか、グランドピアノを従えたソロ曲の方がずっと映えるようです。
私が最も好きなCDも、フランクの「ソナタ・イ長調」です。
これは本来はヴァイオリン・ソナタとして人気の曲ですが、フルートやチェロでも演奏されています。
ジェームズ・ゴールウェイとマルタ・アルゲリッチという、嘘みたいに豪華なコンビの録音があります。↓
フランク&プロコフィエフ:フルート・ソナタ/ゴールウェイ&アルゲ リッチ

関連記事:楽器を楽しもう〜クラリネット吹きはモーツァルトに感謝〜
     楽器を楽しもう〜ドイツ管クラリネットの魅力(1)
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プロフィール

ヨハン・ミズヴィッチ

Author:ヨハン・ミズヴィッチ
クラシックファン。
でもジャズやロックも好き。
33歳にしてクラリネットを始める。
仲間の楽器に合わせて素人なりにパソコンで編曲するのが趣味、というか編曲魔かも。
演奏する人と聴く人との境界を限りなく曖昧にしていきたいという野望を秘かに抱いている模様。
好きなアーティスト:モーツァルト、ブラームス、エルンスト・オッテンザマー(ウィーン・フィルのクラリネット奏者)、トラヴィス(スコットランドのロックバンド)、小林武史(Mr.Children)、キース・ジャレット




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